まちづくり三法見直しに関する最終取りまとめ
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まちづくり三法見直しに関する最終取りまとめ 1.はじめに 中心市街地は、これまでの長い歴史の中で文化、伝統を育み、各種の機能を養ってきた「まちの顔」である。その空洞化はまさに「まちのアイデンティティの喪失の危機」と言っても過言ではない。 自由民主党においては、危機的な状況にある中心市街地を活性化するため、平成9年5月に「中心市街地再活性化調査会」を発足させ、同年12月に『中心市街 地再活性化大綱」を取りまとめた。その実現のために、平成10年に中心市街地活性化法を含む、いわゆる「まちづくり三法」が整備され、政府一丸となって中 心市街地の活性化に取り組んできたところである。 (注)「まちづくり三法」とは、改正都市計画法、大規模小売店舗立地法(以下「大店立地法」という)、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(以下「中心市街地活性化法J という」。 しかしながら、「まちづくり三法」制定から7年を経た現在、これらの制度を活用して中心市街地の再活性化に取り組む地域は数多くあるが、目に見える効果が挙がっているところは少なく、総じて言えば中心・市街地の状況は必ずしも改善していない。 このような状況を踏まえ、中心市街地衰退の原因は何か、新しい環境変化は何か、今後の方向性はどうあるべきか等について議論するため、平成16年11月 30日に同調査会の下に「まちづくり三法見直し検討ワーキングチーム」を設置し、11回の有識者ヒアリングを実施したほか、メンバーによる活発な議論を重 ね、現行まちづくり三法の問題点について見直しを行った。 この検討の過程で、郊外居住の進展、モータリゼー ションの進展、公共公益施設(学校(大学含む)、病院、社会福祉施設、役所等)の移転や大規模集客施設等の郊外立地など郊外開発による「まち自体の郊外 化」、商業者の努力不足、地権者の協力不足、両者の一体的取組不足等による住民・消費者ニーズからの乖離の結果としての「中心市街地自体の魅力低下」と いった環境の変化がまちづくり三法制定後も一層進んでおり、これらが中心市街地衰退の原因であることが明らかになった。 経済の動向を見ると、20世紀は農耕社会から工業化社会へと転換を遂げてきたが、21世紀は「ITサービス化社会」になると言われている。工場等に多くの 土地を必要としてきた時代、各地域では、産業誘致のために、農地や山林を開発して土地を提供してきた。しかし、これからの産業は、そのような広大な土地を 必ずしも必要とはしない。 更に、今後我が国は人口減少社会へと突入する。高度経済成長期を中心に人口が増加し続け、国の制度も人口増加を前提に設計されてきた我が国にとっては、長期の人口減少は未曾有の事態であり、全く新しい環境の変化である。 これらの時代の変化を踏まえると、今まさに求められているのは、我が国がこれからの時代においても望ましい「まちづくり」を実現するための長期的な戦略、いわば「国家百年の計」に他ならない。 このような状況に対応するために、本調査会として、本年10月に中間的な取りまとめを行い、主要な論点について基本的な方向性を示したが、その後、更に議 論を積み重ね、具体的な制度設計の検討を進めてきた。本報告は、その最終取りまとめであり、今後、ここに盛り込まれた内容を、予算、税制に反映させるとと もに、本取りまとめの方向に沿って、中心市街地活性化法及び都市計画法の改正案を次期通常国会に提出、必要な制度改正を行い、人口減少社会というパラダイ ムシフトに対応したまちづくりを推進していくこととする。 2.具体の方向性 中心市街地の活性化に取り組むため、今後、下記の7つの方向性に基づいて、新たな取り組みを行うこととする。 (1)基本理念の創設、責任体制の明確化 住宅、学校・病院等の公共公益施設、事業所そして商業施設は、それぞれが都市の重要な構成要素である。人口が減少していくこれからの時代、それぞれの構成 要素が適正に立地し、多くの人にとっての暮らしやすさが実現することを目指すことが必要である。このため、「市街地の整備改善と商業等の活性化」という現 在の中心市街地活性化法の目的自体を見直し、土地利用規制の緩い郊外では、拡散型都市構造へ向かう流れに「ブレーキ」をかける一方で、中心市街地ではにぎわいの回復を目的とした、コミュニティとしての魅力向上、都市の重要な構成要素の集積促進等、中心市街地の再生に「アクセル」をかけることの双方の一体的 推進を目指すことが重要である。 このため、関係省庁の施策を横串で機能させるための体制づくりをするほか、国、都道府県、市町村、民間の責務を明確にする等、中心市街地活性化のための新しい枠組みを構築することとする。
(2)ゾーニング強化と広域規制の導入 現行の用途地域は、都市計画が本来目的としている用途以外の様々な用途を容認しており、制限が緩やかである。また、白地地域においては用途の制限はない。 このような緩いゾーニングの下で、多くの地方都市では、大型商業施設のみならず、公共公益施設などの様々な都市機能が様々な用途地域や白地地域で立地され ている。また、都道府県から市町村への都市計画に関する権限移譲を進めてきた結果、一市町村の範囲を超えて広域的な都市構造に影響を与える施設の立地の判 断も、市町村の担う部分が増大している。 このため、都市機能を適正に立地誘導することができるよう、ゾーニングの強化を図り、土地利用規制が目指すべきベクトルを外から内向きに転換するとともに、一市町村の視点だけでなく、広域的な観点から適正立地を調整する視点が必要である。 なお、このことは、大型商業施設等様々な都市機能を、まちの中心部以外から一切閉め出すという「マイナス指向」を意味するものではない。どこに立地するこ とが適当であるかを、まちづくりの中で決めていこうとするものである。また、大型商業施設の立地に関して商業調整とならない制度とする必要がある。 具体的には、以下の方向で都市計画制度等を見直すことが必要である。
上記の大規模集客施設とは、店舗、飲食店、劇場、映画館、観覧場(スタジアム等)、アミューズメント施設、展示場(メッセ等)等の用途の床面積合計が1万uを超える施設とする。
(3)農地関連規制の強化 農 地については、これまで、農業振興地域の整備に関する法律等によって土地利用規制を行い、例えば、都市計画区域外の農地については、準都市計画区域の指定 がなされず、この結果、農地転用された場合には、どこの省の土地利用規制も及ばない「ポテンヒット」の状態となり、大型店の無秩序な立地を誘発している。 このため、下記の通り、都市計画区域外の農地に都市計画規制が及ばないという現行制度の改善を図るとともに、農地自体についても、優良な農地の確保とまちづくりの両面から、農地転用許可制度を始めとする農地関係規制の適正な運用を図ることとする。
(4)「商業空間」から「生活空間」としての中心市街地再生 従来の中心市街地活性化策は、「商業空間」の活性化を中心的な課題としてきたため、衣・食等の供給者としての視点(サプライ・サイド)に重点が置かれ、職・住の生活者としての視点が不十分であった。 今後は、質の高い「生活空間」の形成を目標に、商店街だけでなく、生活者(ディマンド・サイド)の視点から、住宅、事業所、文化施設、公共公益施設(病 院・学校福祉施設・役所等)などの「都市の構成要素」を中心市街地に誘導するとともに、公共交通機関のネットワーク整備や利便の増進等を推進することにより、居住機能の充実に加え、多くの住民が利用する都市機能へのアクセスがしやすい都市構造への転換を進める必要がある。 また、その際、既存ストックの有効活用、多様で複合的な機能の導入など、効率的な手法を活用することが重要である。 なお、中心市街地が衰退したのは、既存商店街等の経営努力不足も大きな原因であるという厳しい指摘があることを忘れてはならない。特に空き店舗対策につい ては、商店街、地権者、市町村等の関係者が、自主的、積極的に取り組むことが重要であり、これら関係者が中心市街地活性化に向けて努力することを後押しするのが「アクセル」方策であることに十分留意する必要がある。
(5)予算に関する「選択と集中」の強化 各省庁の1兆円にものぼる現在の中心市街地活性化関連予算は、その多くが「中心市街地にも中心市街地以外にも使える予算」となっており、必ずしも中心市街地に使われるわけではない。
(6)税制等の支援措置 中心・市街地の活性化のため、財政・金融支援に加え、中心市街地活性化に積極的な民間事業者、空き地・空き店舗などの土地を有効活用するのに積極的な地権
者等に対する支援措置として、所得税、法人税、固定資産税、不動産取得税等の税制措置を講じるとともに、不動産取得税及び固定資産税の不均一課税に伴う地 方交付税交付金の措置を講じる。
(7)地域における中心市街地活性化の推進 中心市街地活性化のためには、中心市街地への都市機能集約などを含めた総合的な対応が必要である。地域におけるTMO(タウン・マネジメント・オーガニ
ゼーション。まちづくり機関)の活動についても、現在のところ商業活性化に偏っていろ点、実施責任や費用負担等が不明確である点、更には自治体や商業者、 地権者の積極的な参加、支援が得られず「TMOまかせ」となっている点が課題となっている。また、郊外部との競争条件格差や商業者、地権者等の一体的取組
不足等による住民・消費者ニーズからの乖離なども、多くの場合中心市街地自体の魅力低下、衰退の原因となっている。
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